05252-180909 モンゴル国立大学日本法センターの授業後に学生たちから届いた感想
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モンゴル国立大学日本法センターにて著作権法の授業6コマ、論文指導2コマ、Scrapboxの使い方指導1コマの計9コマを終えた後、学生たちがScrapboxに書いてくださった感想と、それに対するshio.iconからの返信を掲載します。 本当に素晴らしかった。私はロッポ〔六法〕を先生の授業中に使った〔使い〕はじめました。
shio.iconそんなに喜んでいただけてとてもうれしいです。どうもありがとうございます。法律を学ぶ際、テキストは条文のみです。他にありません。ですので、いつもいつもいつもいつも六法を正面に置いて、読むことが大切です。条文を読んで使えるようになることが法学部の学生の学習の目的であり、最終目標は自分でルールを作ることができるようになることです。六法と仲良くなってくださいね。
SNSが〔を〕使って授業を教えているので便利〔だ〕し、早かった。
shio.iconうれしいです。こうしてScrapboxを使ったりFacebookグループでのやり取りを使ってコミュニケイションを効率化することが、現代においては大切です。それがそのまま卒業後に各種の業務に活かせます。学生時代からどんどん使いましょう。
とても面白かったです。法律について全部の答えが条文にあるのをよく分かりました。そんなに気にしなかったところにも大切な意味があるのを分かりました。ずっと日本語で話したのでよく分からなかったところもありますが、大事なことはよく分かりました。著作権だけじゃなくて、ほかの法律でもこんなように学ぼうと思いました。
shio.icon「とても面白かった」と感じていただけて本当にうれしいです。条文にすべてが書かれていますので、これからも条文をよくよく読んでくださいね。他の本を読むより、条文を読む方が先です。授業中、日本語のわからない部分があったとのこと、申し訳ございませんでした。本来もう少し時間をかけてお話ししたいところですが、スクーリングは時間が限られているので、少し密度が濃くなってしまいましたね。友人とともに授業の内容を確認してみてください。わからなかったところをお互いに「教えあい」することが大切な学習方法の一つです。
先生の授業から、絶対に忘れないように分かったのは、「法律の条文には私たちが学んだいる全部のことが含まれている」ということだ。「日本人が日本法に書かれた言葉をどうやって分析して、どんなに詳しく分かっている」かということはとてもうらやましかった。それで私もしおざわさんのとおり、自分の選んだ道を自分のものにするため、文字をはじめ全部を心から学ぶという意志が気に入った。いわゆる法律家の専門のおもしろさを見つけた。
shio.icon非常にうれしいご感想をいただき、教師冥利に尽きます。どうもありがとうございます。条文にすべて書かれている。その通りです。それをいかにして読み取るか。読み解くか。その面白さは極上であり、読み取れる楽しさは格別です。法律を専門とする面白さ、最高ですよ。ぜひ条文を深く読んで、理解を深めていってくださいね。日本人だからといって日本語で書かれた日本法をすべてわかっているわけではありません。だからこそ研究者が日々、研究を続けているのです。モンゴル人のみなさんにとって外国語である日本語ですが、条文に書かれた日本語をきちんと読み解く訓練さえすれば、もしかしたら日本語を母語とする日本人が気づかないような面白い着眼点を持てるかもしれませんよ。ぜひ日本法の研究を進めてくださいね。
そして、六法をはじめて使って見たのは、私にとってすごく大切な経験だったと思う。先生のおすすめのとおり、私はモンゴル民法の計画〔地図〕を作った。それから、必ず日本民法の計画を作る。最後〔に〕ありがとうございました。
shio.iconモンゴル民法の地図をお描きになったのですね。素晴らしいです。日本民法や他の法律も、ぜひ作成してください。新しい法律を読み始めるとき、僕は必ず最初にその法律の地図を作ります。実は昨日、著作権法の授業をしたのですが、授業中に日本の学生たちとともに僕も地図をすべて描きました。そのくらい何回でも機会があるたびに地図を描いています。楽しく描いてくださいね。
とってもおもしろかった。先生の教え方はすばらしくて、短い時間にたくさんの新しいことをわかった。また先生の授業に参加することならぜひ参加したい。
shio.iconそのように感じていただいて、とてもうれしいです。僕もまた機会があればモンゴルに行って、CJLのみなさんに著作権法や民法の授業をしたいです。あるいはあなたがもし日本にいらしたら、ぜひ成蹊大学の授業にもいらしてください。歓迎いたします。
塩澤先生が使っていたApple会社のiphone; ipad; macbookプロそしてipadを直接プロジェクターにつながっていたつながりを〔つなげていたのを〕見て先生は新〔しい〕機械をうまく使える人だねと思いました。先生は授業中に学生〔の言うこと〕をよく聞いていて楽しかった上で〔ので〕ありがたいです。
shio.iconどういたしまして。教室は学生がactivityをする場所であり、教員はコーチです。だから僕は学生たちの言うことをよく聞きますし、それに対してできるだけ適切な(そして肯定的な)応答をするように心がけています。授業は楽しい方がいいですよね。そしてそのために、Mac/iPhone/iPadを使っています。モンゴルの教室ではiPadをケーブルでプロジェクタに接続していましたが、日本の教室ではワイヤレスでプロジェクタに投影しています。ですので、教員である僕は、iPadを持ったまま教室の中を歩き回ることができますので、例えば学生たちのノートに描かれた図が素晴らしい場合はそれを直接iPadからプロジェクタに映して全員に見せるといったこともできます。IT機器を使うことによって学習、教育、研究が効率化されますので、これからもどんどんIT機器を使っていきたいと考えております。
著作権について様々なことを習いました。又は自分の学年論文のテーマを決める時にも役に立った。著作権について全く分からない私に最初から「著作権って何か、その法律の目的は何か、法律の文章をどのように読んでどのように分かるのかとか」教えてくれました。心からありがとうございました。又、お目にかかる日を楽しみに。
shio.iconどういたしまして。またぜひお会いしましょう。僕もみなさんにお会いすることを楽しみにしています。著作権についてご理解いただけたとのこと、とてもうれしいです。今回読むことができなかった条文も、ぜひご自身で読んでみてください。きっと色々と面白い発見と、たくさんの疑問が出てくると思います。それを友人や先生とともに検討してみてください。条文を何度も読んで、具体的に考えていくと、解が見えてくると思いますよ。
法学部で勉強してもう2年間を過ごしましが、モンゴル人の先生から誰も言わなかった言葉を塩澤先生から聞きました。それは「何回も条文を読んで下さい。条文の中に全部あります。」という言葉でした。法学部の先生たちは自分の書いた本を読んで下さいと進み〔勧め〕ます。もちろん、先生たちが書いた本を読むのが悪くないんですが、自分で法令の条文を読んで、考えて見るのは大切だということを分かってもらいました。
shio.iconそのメッセージをお伝えすることができて、本当に良かったと思います。実は日本でも多くの教員が「自分が執筆した教科書を読め」と言います。本を売りたいからですよね。でも読むべきなのは教科書ではなく条文です。条文にすべて書かれています。条文からいかにしてルールを読み取れるか。それを訓練するのが法学部です。そしてルールを読み取れるようになったら、最終的には自分でルールを作れる人になってほしい。例えば契約とは自分でルールを作ることです。家庭内や会社などにもルールはたくさんあります。それを自分で作れるようになってほしい。それが法学部の学習の目的です。ぜひ、条文をよくよくよくよく読んで、その真意を読み取れる人になってください。
また、権利というのは弱いことだろうか、それとも強いことだろうかどうかよく考えました。モンゴルは民主主義の政府制度を変えて、20年間しかを過ごしていないんですから、権利ということを保護されていなければならない弱いことと考える人はまだまだ多いと思います。一方、塩澤先生が教えたとおりに、権利を持っている人は強くて、権利は強いのを分かってもらいました。
shio.iconなるほど、権利を「弱いもの」と考える感覚もあるのですね。教えてくださってどうもありがとうございます。民法上は権利は他者に対する請求を正当化することができる一種の武器ですから、明らかに強いものです。そのような道具を使って民法が組み立てられているので、強いもの、と考えると民法の体系がよく理解できると思います。
最後に、塩澤先生の教え方は珍しかったんです。特に頭を動かせる質問は面白かったです。また、使っていたプログラム、機械などは先生の教える脳力〔能力〕と合って、最高でした。
shio.icon僕の教え方は確かに珍しいかもしれませんね。実はモンゴルだけでなく日本でも珍しいんです。だからこうして色々な国や大学や中学高校に呼ばれて、授業を実際にして見せています。教室にいる学生のみなさんが自分の頭を使って考えて、手を使って書いて、口を使って発言するのが教室という場所であり、それが学生のみなさんの訓練です。そのような訓練を指導するのがコーチとしての教員の役割だと思います。Mac/iPhone/iPadを補助に使っていますが、それがなかった時代からまったく同じような授業を実践しています。教室の主人公は学生ですから。
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モンゴルの学生たちに著作権法の面白さを伝えることができた模様。何より条文の大切さとそれを読み解く手法、楽しさを実感していただけたし、日本語文法が条文読解に役立つこともわかったことでしょう。
本当に行ってよかった!!
CJLの方々、お招きいただきまして本当にどうもありがとうございました。 https://flic.kr/p/2bfmyRz https://farm2.staticflickr.com/1890/44794703931_6ba171cc2b_k.jpg